これからの野生動物管理に必要な役割分担と連携

 12月20日(土)岐阜大学にて、WSJ主催の公開講演会「これからの野生動物管理:各県での取組から今後の展望を探る」を開催しました。遅ればせながら、ご報告いたします。

141220公開講演会ポスター_差替 全国的に野生動物による被害が増える中、被害対策だけでなく管理体制の抜本的な見直しが迫られています。そのような状況をふまえて、5月に鳥獣法の改正案が可決成立しました。今後は行政主導の対策にも期待が寄せられているところです。そこで今回は、各県での取組から今後の展望を探る、と題して、県の職員として精力的に野生動物管理に取り組んでいらっしゃる岐阜県・徳島県・栃木県の方にご講演いただきました。

 講演者の皆さんにはそれぞれ、県内の野生動物に関する現状から、現在実施している県としての取り組み、そして今後の県としての方向性について、お話しいただきました。県職員としての立場からだけでなく、現場に出られることの多い皆さんならではの本音が垣間見える個人的な意見も飛び出し、行政としての施策を実際の現場でどのように活かしていくべきなのかが今後の大きな課題と感じました。

 現在は、地域主体の被害管理が中心で、現場での対策は市町村単位での実施になることが多いのが現状です。これは非常に効果的で成果もあがっていますが、一方でシカやクマなどの大型動物や鳥類など、移動距離や生息範囲が広い野生動物では広域連携が欠かせません。そのためにも、今回お話しいただいた県としての取組は、これからますます重要になってくると思います。

 今回の鳥獣法改正にともなって、野生動物に対する施策は大きな転換点を迎えたわけですが、まだまだ手探りで進めている状況です。これからの野生動物管理では、市町村、都道府県、国がそれぞれ必要な役割を果たしつつ、縦にも横にも連携して取り組む体制作りが成功の鍵になると思います。その連携作りの中心的役割を県が担うことで新たな段階に進むことを期待しつつ、講演会のご報告に代えさせていただきます。講演者の皆さまを始め、多数の方にご参加いただきありがとうございました。