先月、鳥獣法の改正が国会を通過し、おおよそ1年後から改正法案が施行されることになりました。法改正の目的は、社会的な問題となっている野生動物、特にシカ・イノシシに対する捕獲の強化と、都道府県の野生動物行政に関する役割(姿勢)の明確化、というように見受けられます。
法改正は国会を通過しましたが、具体的な部分に関しては『環境省令による』という文字が頻出しており、その環境省令はこれから審議されることになります。捕獲を専門的に担う団体を都道府県が認可する認定事業者制度など、これからの野生動物管理に強く関係する内容について、これから短期間で方針が定められます。
そんな状況の中、野生動物管理学研究センターシンポジウム『野生動物捕獲の手法論と体制論~手法と体制の適切なマッチングをめざして~』が6月22日、岐阜大学講堂(写真)にて開催されました。住民による効果的な捕獲体制を整備した兵庫県の事例紹介と、イノシシの捕獲方法や被害対策現場におけるジレンマに対する解説、そして、経験が浅くても誘引餌やカメラを用いて短期間で捕獲ができるという実践例が紹介されました。その後、総合討論としてマングースの防除事業と岐阜県内の捕獲拡大に向けた取り組みが紹介されました。
シンポジウムの中でも強調されていたのは、捕獲の技術的手法の重要性はもちろんですが、その体制づくりとして民間企業が参入することや、地域の防除活動を正しい方向に軌道修正できるような交渉人についてです。前述の法改正後に制定される認定事業者制度は技術的課題について議論されることが多々ありますが、捕獲を技術論だけで完結するのではなく、体系的な計画、そして体制の重要性に言及したこのシンポジウムの内容は、今後の審議に活かされるべきだと思います。